2010年、熊本県御所オートランドで伝説のハードエンデューロレースが開催された。当時まだハードエンデューロを知らなかった人でも名前だけは聞いたことがあるだろう、「G-IMPACT」だ。優勝は日本人唯一のエルズベルグロデオ・フィニッシャー、田中太一。準優勝は水上泰佑。現在の全日本ハードエンデューロ選手権G-NETの歴史はここから始まった。そして、それから12年を迎えようとする2021年12月、特別選抜戦として行われた「BIKEMAN Presents Ultimate Enduro Cup」は、このG-IMPACTのコンセプトを受け継ぐ記念すべきレースだったのだ。
藤原、山本、柴田、高橋、田中のバトル
「K猫の細道」〜「倒木祭り」
セクション10〜15はヒルクライムからの激下りが何度も続いた。登っては降り、登っては降り。無限とも思える繰り返しにスタミナを奪われていく。この中で最もライダーが苦戦したのがセクション10「K猫の細道」だった(セクション名に使われている「K猫」とは金子岳のこと)。
ここではほぼ全員がヒルクライムに捕まり、順位は混沌。しかしこの後、藤原が柴田と山本をパスし、トップに躍り出た。
藤原に続き、山本がセクション12を通過。さらに柴田が後を追う展開。この後、セクション16〜18で柴田は有刺鉄線に絡まり、さらにコースアウトを喫し、大幅にタイムロスしてしまうことに。
そしてトップ藤原はセクション19「倒木祭り」に到達。待ち構える登り斜面に横たわった浮き丸太に対し、異名である「ぶっ刺し先生」の語源にもなった必殺テク「ぶっ刺し」を披露。フロントタイヤを丸太にぶつけて浮かし、華麗に飛び越える。
しかしこの「倒木祭り」本当に恐ろしいのはこのすぐ後に現れる下り斜面の浮き丸太なのだ。これは流石に藤原も乗ってクリアすることは避け、パワープレイ。少し間隔を開けて、山本もここを通過。レースはいよいよ後半セクションに突入していった。