トップ集団が決定した
「選別ヒル」〜「やり直しキャンバー」
こちらが、デッキーランドに作られた特別選抜戦のコースマップだ。実に34個にも及ぶセクションと、7つのチェックポイント(CP)が用意され、制限時間は3時間の設定だ。
土曜日の早朝に少し雨がちらついたが、その後は天候に恵まれ、コースはベストコンディション。予選で上位の順から2台づつ10列のグリッドが作られ、約1秒おきにスタートフラッグが振られた。
最初の難関は、セクション2「選別ヒル」だった。ここは木々の合間を縫って登るコース幅の広いヒルクライム。各ライダーが各々のラインでアタックし、中腹でバイクを押しているところを、予選15位と後方スタートだったトライアルIAS柴田が、直登。トップ通過を決めた。
なおこの「選別ヒル」を登ると最後にキャンバーが待っているのだが、そこで柴田は一回キャンバー落ちを喫したものの、後続が来る前に再チャレンジし、成功。続いて山本が現れ、やはり一回ミスしてからの成功。そこから高橋、藤原が続く。
次はパドック前の3番セクション「パーキングヒル」を登り、山へと入っていく。そこから山中のセクションをいくつか超え、たどり着く難関がセクション8「スタジアムヒル」とそこから続くセクション9「やり直しキャンバー」だ。
今大会の基本ルールは「コーステープを切ってコース外に出てしまったら、同じところからコースに戻る」というものだったが、ここだけは例外。セクション9の「やり直しキャンバー」でキャンバー落ちを喫してしまうと元に戻ることはまず不可能。「スタジアムヒル」からもう一度やり直し、というまさに「やり直しキャンバー」という名称通りのセクションなのだ。
ここに一番にたどり着いたのは藤原だった。「スタジアムヒル」手前の下り坂を降りたところでトライアルテクニック「リアホップ」を、集まっていたスタッフと観客(前日のスクールを受講したライダーと、同乗者)に披露すると、ヒルクライムで大ジャンプ。ちょっとやりすぎなレベルで見ていてヒヤッとしたが、順調にクリアし、「やり直しキャンバー」一番乗り。
「やり直しキャンバー」手前の下り坂をバイクで乗って降りると、まず100%キャンバーで落ちる、と判断したのか、トライアルIASの藤原さえも転んだ状態でバイクと共に滑り落ちることを選択するほどの難易度。
フロントタイヤをうまく切り株に当てて、止め、いよいよキャンバーに突入していく。9割、超えたと思ったところで、まさかのリアタイヤが滑落。無念、藤原は「スタジアムヒル」からやり直しになった。「むっちゃいいところに入ったのに、最後の最後で落ちてしまって、すぐにみんな来ちゃったから、本当に悔しかったですね」とレース後に藤原はこの時の気持ちを振り返った。
続いて挑戦したのは柴田。しかし「スタジアムヒル」で失敗し、2回目の藤原と一緒にスタック。そこに山本や高橋、そして田中太一が追いついてきた。山本は「スタジアムヒル」を一発でクリアすると藤原と同じようにバイクを滑らせて落としたところで、フロントタイヤが落ちすぎ、持ち直そうとしていたところに、柴田がバイクを落とし、柴田のフロントタイヤが山本のリアタイヤに当たってストップ。間一髪のところで山本のバイクは落ちずに生き残った。ここで下りで木に引っかかっていた高橋、田中を柴田と藤原がパスした形になった。
トップ争いは「やり直しキャンバー」をクリアした山本、高橋、柴田、藤原が抜けでた形になった。「やり直しキャンバー」からのZ字に押し上げるヒルクライムを一番に上がったのは山本。この頃には水上、原田が「スタジアムヒル」に姿を見せる距離感。