マシンの進化に合わせてライディングを進化させる
「昔、モトクロスでも2ストロークが主流の時代は、全開でコーナーに突っ込む走り方が速いと考えられていて、自分もそう教わってきました。でも今の世界のトップライダーを見ていると、コーナーの進入でもうアクセルが開いているんです。マシンも昔に比べて大きく進化していて、ライディングもそれとともにレベルアップしていってるんだと思います」と釘村選手は分析しています。
「バイクはスピードが出ているほど安定しますから、コーナー直前でブレーキングしてしまうと、リアタイヤも滑りやすくなり、安定して走ることが出来ません。すると曲がらないからハンドルを切ることになり、ハンドルを切るからフロントタイヤが滑りやすくなってしまうという悪循環が起こります。
そして進入がいかに速くても、コーナリングでもたついたり、立ち上がりが遅くなってしまっては意味がありません。直線で早めにブレーキをしてもコーナーでの平均速度を上げることで、結果的にタイムを上げる、という考え方です。
最終的な目標は『あまり減速しないままオーバースピードでコーナーに進入し、コーナーを利用してさらに加速していく』というものです。ブレーキは一般的には減速するための機構ですが、海外のライダーはブレーキをスピードコントロールのために使っているように見えます」
と釘村選手。前回の記事「フラットコーナー克服のコツはフロントタイヤ」がしっかり習得できていると、今回のブレーキ編がとても活きてきますよ。
直線区間でしっかりブレーキを終わらせ、加速しながらコーナーリングすることで、バンクのついていないコーナーでもこれだけバイクを寝かせることができます。
また、この走り方をするもう一つのメリットとして、レースが進むとコーナー手前にできがちなブレーキングギャップを避けてブレーキができるという点があります。ブレーキングギャップでブレーキをかけると、前後のピッチングが多くなってバランスが崩れ、ブレーキをしても制動距離が長くなり、効率が悪くなってしまいます。
ブレーキ操作のコツを動画で見る
釘村忠 ライディングテクニックVol.4 「攻略 ブレーキ編」
www.youtube.comいかがでしたでしょうか？
今回のブレーキ編は多くの人が初めて聞く話だったと思います。今までの走り方と真逆の人もいるかもしれません。ですが、物は試し。ぜひ一度試してみてください。ブレーキに対する考え方が変わると、走りの幅がすごく広がりますよ！
この記事はIRCタイヤ、井上ゴム工業株式会社様の協力をいただき、制作しています。