日野の山の秘めたるポテンシャル
全国から猛者が集まるワケ
土曜日、ミディアムクラスやミニモトクラスのレースが行われている中、日曜日のハード・G-NETクラスに出場するライダーたちは念入りにコースの下見を行った。ここ、日野カントリーオフロードは毎年、関東とは思えない広大な敷地を巧みに活かし、全国から集まるハードエンデューロライダーたちを大いに歓迎してくれる。その中でも今年は過去最長とも言われた。
この日野ハードエンデューロの何がすごいかと言うと、「一番難しいセクション」がほぼ毎年のように新設されることだと思う。最初は「ダートフリークヒル」や「V字沢」だったし、その後には「Finish Hill」が現れ、そして「ベータマウンテン」や「なめこ沢」「フラット林道」さらに近年では「壁」や「日野スタジアム」が文字通り立ち塞がっていた。(ダートフリークヒルの時代はまだG-NET戦ではなかったが)
そして恐ろしいことに、過去最難と思われる今大会では、これらのセクションをどれひとつ使っていないのだ。かろうじて形を変えながら長らく使われているのは「バンク・オブ・チキン」こと「BoCヒル」だろうか。そういえば今回は懐かしの「エンデュヒル」も姿を変えてお目見えした。
日野カントリーオフロードは毎週末にフリー走行の営業を行なっているが、今回レースで使われたほとんどのセクションは走行禁止だ。先に名前を挙げた過去のセクションも同様(一時期、ダートフリークヒルはフリー走行できたこともあるが)。
つまり、年に1回のレースのためだけにセクションを開拓してくれており、そしてそれは2度と使われないかもしれないのだ。そう考えると、いかに遠方からでも、参加しないわけにはいかないだろう。
土曜日の夕方、そろそろ日が落ちて暗くなりそうな頃、長い下見を終えてパドックに帰ってきたロッシこと高橋博は「いや、今回ばかりはわかりません。一周できないかもしれない」と漏らした。
特に厳しいのはコース前半に待つ難易度☆4がつけられた「ワイヤーマウンテン」、そしてコース終盤に満を辞して登場する今回唯一☆5がつけられた「エムスリー」だ。
それでは、この二つのセクションでのドラマを交えつつ、レース展開をお伝えしていこう。