3月14日の開幕戦CGC奈良から7ヶ月が空き、10月17日にG-NETの第2戦となるブラックバレー広島が開催された。日高ロックスが中止となったことで大会数の減少が危惧されたG-NETだったが、日野の後に特別選抜戦・四国が開催されることで全4戦をキープ。有効ポイント制にてシリーズチャンピオンが決定される。

入れ替わる順位。実力は拮抗⁉︎

ここ3年ほど、G-NETを取材させていただいているが、こんなにトップが入れ替わったレースは過去に無かったのではないだろうか。トップグループに遭遇するたびに、順位が変わっていた。

高橋だけは少し距離が空いてしまっていたため、トップは山本、水上、鈴木の3人でのバトルだった。しかし、2周目には水上が頭一つ抜け出ることに成功し、2020チャンピオンの力を見せつけた。

ところが、これはハードエンデューロ。3周目には再びトップは山本と鈴木になっており、水上は少し遅れていた。最終セクション「新 組合ヒル」までは鈴木が前、だが、そこで山本が前に出て、チェッカーは山本が先に通過するという展開。

昨年、多くのライダーがレース時間の大半を過ごした「ヤミ金キャンバー」も逆回りで使用。雨でキャンバーは使い物にならなくなり、ほぼ全てのライダーが下まで降りるラインを選択していた。

そして4周目を終え、もうレース終盤となったタイミングで鈴木健二がタイヤ交換に出た。タイヤ交換と言ってもホイールからタイヤを外して付け替えるのではなく、予めセットしてあった予備ホイールへと交換したので、それ自体にはそれほど時間はかからない作業だ。

タイヤについてここまで触れてこなかったが、ブラックバレー広島は基本ゲレンデだが、ゲレンデを使うところは一部のみで、ほとんどは山で構成されるコースだ。ガレも一部のみで、ほとんどが土での登りと下り、そしてキャンバーである。

山本は昨年に引き続きシンコーの540DCをチョイス。水上はマディの日はコレ、と決めているIRCのVE-33s GEKKOTA。ロッシはやはりIRCのM5Bを選択した。鈴木はと言えばハード系でよく使用しているDUNLOPのモトクロス・サンド用タイヤMX12を使っていたのだが、最終周に交換したのはなんと、FIM規格のEN91だった。

結果、ここを越えれば5周を周り切りチェッカー、という最後の「新 組合ヒル」に最初に到達したのは山本だった。しかしここで荒れた路面に苦戦しているうちに3時間+30分のチェッカータイムは過ぎ去り、ここでレースを終えることに。まもなく、鈴木もここに到達した。2人の差は1〜2分程度だったのではないだろうか。

なお、ブラックバレー広島のリザルトでは「広島ルール」が適用される。この広島ルールは大きく分けて2つ。

・トップの周回数の6割を周回していなければ完走扱いにならない

・チェッカーを振っている30分の間に集計ポイントを通過しなければ失格となる

だ。つまり山本も鈴木も水上も高橋も、この2つ目のルールが適用されると失格ということになる。しかし今年はG-NETシリーズのポイントはブラックバレー広島の順位とは別に付与されることが事前に発表されていたため、G-NETシリーズを追いかけていたトップライダーは気にせずに次の周回に突入したというわけだ。

そしてもう一つ、幻の5周目となった最後の1周を誰も走りきれなかったため、G-NETのトップは4周目をトップで終えたライダーということになる。先にも触れた通り、最後の「新 組合ヒル」は鈴木よりも山本に分があったため、山本有利に思われるのだが、実は肝心の4周目だけ、鈴木が先に登頂していたのだ。

しかしなんと、鈴木がその後の下りで痛恨のミス、そこで山本が抜き返して、結局、先に4周目の集計を受けていたのは山本だったのである。