GASGASがKTMグループの傘下になって、1年が経過した。ベースを同じくするKTM、ハスクバーナ、GASGASの3ブランドのどの車種に乗るべきなのか、今回はハードエンデューロG-NET2020チャンピオンである水上泰佑にその比較試乗を依頼、その素性を分析してみた。
レースで勝つためのマシン、KTM
まずはKTMだ。言わずと知れた「Ready to Race」をコンセプトとして掲げるメーカーであり、世界中のあらゆるレースでの栄冠がそれを証明している。
「KTMはやっぱりスポーティですよね。エンジンのフィーリングはハスクバーナと大きな差異はありませんが、足回りの動きが、ハスクバーナともGASGASとも全然違います。アクセルを開ければ開けるだけサスペンションがよく動いてくれて、前へ前へと押し出してくれます。アクセルを開け続けている時のトラクション、グリップはピカイチです。リンクレスとPDSサスを組み合わせる伝統的な足回りですが、ハードエンデューロでヒルクライムする時や、マディ路面にマッチするんです」と水上。
水上の生家であり現在の勤務先は北九州に店を構えるバイクショップ、ダートバイクZIM。2003年にKTMジャパンができる前からKTMを扱っており、累計販売台数は優に1000台を越える。
KTMのエンデューロモデルを語る上で外せないのは、やはりリンクレス式のリアショックだ。かつてはジャンプで前転しやすいなどリンクレスに対してネガティブな印象を抱くライダーも多かったが、海外のエンデューロレースがハイスピード化するに従って改良が進み、最新モデルではそういったネガは特に感じなくなってきている。
「あえてKTMを一言で評価するなら、やっぱりレースですね。それもファンライドではなく、成績にこだわって走りたい人。ISDE(シックスデイズ)モデルやエルズベルグロデオモデルがラインナップされていることからも分かるとおり、KTMは極めて純粋な『レーサー』なんですよね」と水上。