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鬼神の追い上げ、下田の爆発力

MOTO2、ふたたび好スタートが期待されるなか、しかし下田はタイ・マスタープールと引っかかってしまい、最後尾に。しかし、まったくこのヒートは、下田がこれまで出遅れたときとは違う展開を魅せた。スタート後のスネークで一気にごぼう抜きをキメて13番手ほどまで浮上した下田は、2周目までに8番手まで順位を回復。ジャレット・フライを1周で素早く躱して3週目にチームメイトのオースティン・フォークナーの背後へ。

実は、このフォークナー、チームメイトながら下田には因縁があり、このプロモトクロスの序盤で思い切りアンフェアなアタックを受けている。下田の言葉をかりるなら、「バチバチの間柄」なのだ。3周背後からパッシングを仕掛けた下田は、上りキャンバーターンをインからアウトへ膨らむ形で、いささか強引にパス。とはいうものの、スピード差があったのか危なげなくフォークナーを躱して中盤5番へ。明言はしなかったものの、このパッシングが下田のそのあとのパッシングリズムを作ったのかもしれない。「あれくらいが、むしろちょうどよかったのかもしれない」と下田も言う。

すでに縦に長い展開となってしまっていた3位への道だが、5秒以上離れていたハンター・ローレンスをあっと言うまにおいつめてパス、その後モシマンも同じように5秒以上の差をつめてアウト側からラインの妙でパス。2番手のクーパーが見えかけていたが、時間切れで3位フィニッシュ。実に、最後尾からの3位、下田らしからぬ強烈なチャージをみせたのだった。

アイアンマンから、サスペンションのセッティングを変更していることも功を奏していると下田は言う。「この後半戦で、僕もマシンも進化したことを感じます。今回は、初の2週連続表彰台ゲットだったんですよ。レースごとに、ちゃんと切り替えることができたんです」と。さて、いよいよ残るはハングタウンの最終戦。例年であれば、酷暑の開幕戦なのだが、今年は27度程度の予報が出ている。シーズンランキングは、宿敵ジェットが頭ひとつ飛び抜けて、2位クーパーと23pt差。下田は、5位までは固く、このFOXⅡではハンプシャーがMOTO2を落としたことで、4位の目も見えてきた。しかし、やはりここでほしいのは初優勝。4ヒート連勝中のジェットを打ち負かすことができるか、最終戦も見逃せない。

250チャンピオンはすぐそこ、ジェット・ローレンス

450のMOTO2は、イーライ・トマックの勝利。2位でフィニッシュしたディラン・フェランディスが最終戦を待たずしてタイトルを確定

450デビューイヤーにタイトルを決めたのは、ライアン・ダンジー以来。偉大なチャンピオンが、また一人誕生したのだった