全日本エンデューロ選手権で4度チャンピオンを獲得、日本人唯一のISDEゴールドメダリストである釘村忠選手が、初級〜中級エンデューロライダーに向けてライディングテクニックを教えてくれるシリーズをOff1.jpにて開始! 第一回となる今回は…「フルスロットル」がテーマ。 

よく「速く走るためにはどうすればいいのか」という問いに「アクセルを開けろ」と言われる、という話があります。これはある意味正解で、アクセルを開ける以外にバイクを速く走らせる方法はありません。では、アクセルを開けるためにはどうすればいいのでしょうか?

釘村忠
1984年3月5日生まれ、宮崎県出身。モトクロスのIAライセンスを持つエンデューロライダー。2015年、2017年、2019年、2020年に全日本エンデューロ選手権IAクラスでチャンピオンを獲得。2019年にはポルトガルで開催されたISDE(インターナショナルシックスデイズエンデューロ)にて日本人初のゴールドメダルを獲得。

「トップライダーでもアクセル開度は走り方によって人それぞれで、全ての場面で必ずしもカチッというまで開けるのが正解というわけではないのですが、おそらく多くのサンデーライダーは"怖くてカチッというまで開けられない"という悩みを抱えていると思います。それを解決するにはライディングフォームをしっかり見直すことが必要です」

ドアノブ握りがバランスを保つ

釘村選手が最初に指摘したのはライディングの基本中の基本、誰もが一度は聞いたことがあると思われる「ドアノブ握り」の徹底でした。次の写真で見比べてみてください。

通常握り全閉

通常握り全開

ドアノブ握り全閉

ドアノブ握り全開

通常の握りに比べ、ドラノブ握りをしていると、肩が落ちていないのがわかるでしょうか?

よくコーナーの立ち上がりを正面から撮っている写真で、アクセルは開いていてカッコいいけど、右肩がすごく落ちている写真を見たことはないでしょうか? 釘村選手曰く「肩が落ちるとバランスが崩れてしまい、バイクが左右どちらかに傾いてしまいます。そうなれば当然トラクションは逃げるし、タイヤは滑りやすくなり、怖くてアクセルが開けられなくなる、という悪循環が生まれてしまいます」とのこと。なるほど仰る通り……。

悪い例を正面から見ると、こうです。

しっかりとドアノブ握りができていれば、アクセルが全開の時でも右肩は落ちず、バランスも崩れないというワケ。