装着した瞬間にわかる、BELLの哲学

オフロードヘルメットには、世界的にいくつかの文脈がある。欧州では、MTBの延長線上といわんばかりのコンパクトな帽体が主流で、内装は薄くアクティブセーフティと言えるだろう。北米の場合、スネル規格の求める強靱な帽体を実現するため、重く、大きく仕上がりがちだ。日本のヘルメットは、その中間と言うべきだろうか。どのヘルメットの文脈も、理に適っていてどこが優れているとは一概に言いがたい。

僕自身は、モトクロスにおいてはFOXの製品を愛用している。マグネットで外れるバイザーや、直線的な形状がお気に入りだが、ツーリングやロングライドでは頭の形状にマッチする日本製品を愛用する。求めるところは、みな違うし、頭の形もみな違う。

このMOTO-10は、被った瞬間に点で支える内装だということがよくわかった。頭を優しく包み込むと言うよりは、機能を優先した結果なのだということが、今度は走り出した瞬間にわかる。ものすごいエアインテークの効き具合なのだ。写真で見てもわかるとおりの、積極的なエアの吸入口が主張してくる。脳震盪を防ぐMIPSの構造だから、というのもあると思うけど、おそらくエアの通り道を優先したのだろう。

エアの排出口。インテークとあわせて、ちょっと経験したことのないエアフローが味わえる。テストは猛暑日だったから、この効果は価格に変えがたくありがたかった。レースでのアドバンテージは計り知れない。なにせ、ヘルメット内部はあとから手を加えたりできるものじゃない。もしかすると、モトクロスもいいのだけれど、汗がたまりやすいエンデューロに向いているのかもしれない。