2019年の全日本モトクロス選手権開幕戦、初めて電動モトクロッサーのデモ走行が行われた。あれから2年、2021年全日本モトクロス選手権第4戦SUGO大会でのE-REXデモ走行が急遽決定し、注目を集めた。
そもそも無限が電動バイクの開発を始めたきっかけは、無限初の電動バイクとして「SHINDEN」を開発しマン島TTレースに初参戦した2012年に遡る。5年間の参戦で得た経験をもとに、より多くの人に電動モータースポーツを楽しんでほしいという想いから電動モトクロッサー製作に踏み出した。前回デモ走行を行った2019年はホンダとの共同開発であったが、現在は無限として単独で開発を進めている。
今回のデモ走行は土曜日と日曜日のお昼休みに行われ、土曜日はショートカットコースでの走行となった。1周目、勢いよくスタートを切ったものの3コーナー直後のジャンプでバイクが止まるアクシデントが発生。そのままデモ走行は終了となった。後に、今回デモ走行のライダーを務めた増田一将に話を聞いたところ、「泥が後輪付近に詰まってロック気味のなか出力していて、ジャンプを飛んだ時に泥が抜けて一気に回転が速くなったことで異常検知されました。土曜日は雨上がりということで出力を少し落としたモードにしたので、それによって低く設定された規定の数値にひっかかりシャットアウトしてしまった」と推測し、E-REXの緻密なセッティングの重要性が感じ取れた。
日曜日はセッティングをフルパワーに変え、フルコースを使った走行を見せた。まるでラジコンのような電子音を響かせてスタートした後、大坂を難なく登りきった姿を見て電動モトクロッサーのパワーに驚いた人も多いのではないだろうか。さらに、スピードを上げて走った2周目には、大坂のみならず、20m超えのヤマケンジャンプとKYBジャンプを軽々クリア。音の静かさによって助走に力む様子は感じられないものの、20m級のジャンプもしっかりと飛びきる力強さを見せつけた。デモ走行は3周で終了。電動ならではのスムーズな走りにモトクロスの新たな魅力が感じられた。