今年は全日本モトクロスやG-NETなどとスケジュールが被ることでライバルである渡辺学、鈴木健二がともにフル参戦できないJNCCは、大きなトラブルさえなければ馬場大貴のチャンピオンは揺るぎないものと見られていた。しかし蓋を開けてみれば第1戦、得意な阪下で渡辺に打ち勝ち、さらに第2戦、広島で鈴木に勝ち、そしてそして、第3戦、鈴蘭でも鈴木を下して開幕3連勝を成し遂げた。フル参戦かどうかなど関係ない。そんな事情がなくても「実力で獲る」と言わんばかりに馬場の勢いは止まらない!
初出場の阪下、広島に続いて総合上位
注目ライダー、高橋吟
今回、ピックアップしたいライダーがこの人。COMP-Bクラス374番の高橋吟だ。開幕阪下ででJNCC初出場にしてCOMP-R優勝、広島でもクラス優勝し、総合でも17位に入って驚かせた27歳。
ジュニアまでモトクロスをやっていたという高橋は、さすがのスタートダッシュを見せる。昇格してCOMP-Bクラスでも、完璧なホールショットを獲得。
クラスの中では圧倒的な走りで8周。2番手のG-NET黒ゼッケンライダー、佐々木文豊に2周差をつけてクラス優勝はもちろん、総合でも12位に食い込んできた。
「僕は中学1年生までモトクロスの東北選手権で走っていたんですが、家庭の事情もあって一度辞めてしまったんです。FUNAI RACINGのYOUTUBE動画を見て「面白そうだな」って思って最近復帰しました。一昨年の6月にKTMの300EXC TPIを買って、最初は林道ツーリングから始めて、去年はハードエンデューロをやって、今年からJNCCに出始めました。
マディのレースは初めてだったので、対策が何もできていなくて、特にグローブがすぐにツルツルになってしまって、全然思うようにアクセルが開けられなくて……途中で観客の方に軍手をお借りしてそこからペースを上げていくことができました。
もちろんレースに出るからには勝ちにいきたいですし、いつかAAライダーで活躍するのが目標です」
高橋はモトクロス出身ということでアグレッシブなフォームでスピードを生かして走る。さらに最近はトライアルライダーと一緒に練習することが多いらしく、そういったテクニックも身につけており、総合力はかなり高いと見ている。本人は「いつかはAAライダー」と言っているが、実力的にはいつ昇格してもおかしくないレベルだ。