この穏やかなエンジン特性のキモになっているのは、まずECUである。これまたヤマハであつらえたマッピングが入っており、低速がぼけるようなセッティングがされているという。
排気バルブのスプリングも交換されている。スタンダードより遅めにバルブが開くようになっていて、これも低速のボケに寄与。
面白いのはキャブレターだ。スロットルポジションセンサー付きのPWKは、低開度のあけくちでパワージェットの噴射弁をあける仕組みになっているのだが、これをキャンセルできるスイッチをつけてある。キャンセルすると、パワージェットが常時開放されるため、高開度でもパワージェットからの噴射があり、しっかり力が乗るようになるのだそう。長いヒルクライムなどでレブにあてるような乗り方をする場合、特にトルク感がでて有効だそうだ。
加えて、セルをつけたことによってフライホイールマスが増えており、これもどろどろした低速のフィーリングに一役買っている。鈴木は、モトクロッサーにフライホイールマスを増やすモディファイを今まで否定してきたのだが「クロスカントリーやエンデューロでは重ったるくなるのおすすめしてきませんでしたが、エルズベルグのような僕らでも超低速になるシチュエーションでは有効ですね。125ではこの重さはいらない。でも250だと、ほしい」と考え方を改めている。「ちなみにフラマグが重いと、高回転のまわりかたが気に食わなかったんですが、スロットルポジションセンサーの処理で解決しました」とも。鈴木ならではのレブ域でアタックする乗り方も、この2つのアイテムで使えるようになっているという寸法。
なお、リードバルブはボイセンに換装。パワー感が違うそうだ。