ニッポンのハードEDに対する知見が、ここに集まった
撮影した車両は、鈴木の練習車として製作されたもの。ヤマハ社内のYZチームが関わっており、エンデューロライダーで南アの「ルーフオブアフリカ」完走経験のある西森が作り上げたとのこと。本番車も用意されており、さらにはこの他に3基のエンジンストックが準備されているというから、このプロジェクトへのヤマハの本気加減がわかるだろう。おもしろいことに、このバイク、みればみるほど日本のハードエンデューロランカーが十数年かけて作り込んできた知見が集約されている。たとえば、バックステップや、擬似ロングスイングアーム、フロントローにセットアップされた車体姿勢だ。
細かい説明は後述するが、なんとミッションの中にはワンオフで製作されたという1-2速が仕込まれている。設計しなおしたわけではなく、すでに廃盤になってしまった過去のWR-Fの1-2速と同寸法のものを作ったのだという。これは、YZ250Xのスタンダードよりも断然ギヤ比が低く、フロント12Tの超ショートギヤ比もあいまって、2速が通常の1速くらいのギヤ比におさまっている。1速はスーパーローだ。“いごり”(超低速で、難所を押しながらクリアする方法)専用ギヤを、仕込んだというワケ。
「ワイドレンジの2速。2スト300に負けない多様性がある」内嶋亮
テストライドしてもらったのは、内嶋亮。日野カントリーオフロードの「やぶさか」を思い通りにアタックしてみてもらった。