スタンディングは疲れない!?
立っていると疲れる。座っていると休まる。これは日常生活では常識ですが、実はオフロードバイクに関しては反対なんです。
こちらは荒れた路面を、釘村選手にシッティングのまま走ってもらった連続写真です。路面が荒れてくると凸凹をサスペンションが吸収しきれず、バイクが前後にピッチングし、その衝撃を全て身体が受けてしまいます。頭や上半身が意図せず前後に動き、それを抑えるために腕や足腰、腹筋背筋なども疲労してしまいます。最後はシートにお尻を跳ねあげられてしまいました。
スタンディングすることで、路面の凸凹をサスペンション+腕+膝+足首で吸収することができます。なので「荒れた路面では立った方が疲れないし、速い」これはもうほとんどのライダーがわかっていただけていると思います。
それでも僕は、いざレース、となると立てなくなってしまうことが多かったんです。それは何故かというと「スタンディングで走っていると、不意な急カーブや不安定な路面に対応できない。立ったままのブレーキングが苦手、立ったままより座った方がコーナーの立ち上がりの加速が速い」などが理由でした。
しかし結局レースが進むにつれて荒れてくるコーナーの前後のギャップを全て身体で受け止めてしまって疲れるし、コーナーの入り口でバイクが跳ねるものだからサスペンションが伸びてしまい、トラクションがかからない、という悪循環が生まれてしまっていたんです。
「シッティングよりもスタンディングの方が疲れない、と言っても、それはスタンディングに慣れた人の話です。もちろん慣れていない人がスタンディングをすると疲れてしまうので、まずはとにかくスタンディングのままオーバルや8の字、広めのスラロームなどを繰り返し練習し、体を慣らしましょう。
その際に、特にフロントタイヤの通るラインに気をつけてみましょう。スタンディングではハンドルを切るという行為がよくないので、ハンドルを動かさなくても狙ったラインを走ることができるように重心移動でバイクをコントロールするクセをつけると良いと思います。
スタンディングに慣れたら、いつも走っているコースをオールスタンディングで走ってみます。まずはブレーキしなくても曲がれるくらいの速度でコーナーに進入して身体が動きを覚えてきたら、直線でしっかり加速してブレーキも混ぜ込んでみてください。そして、仕上げはシッティングを混ぜた本気の走りとのタイム差を削っていくんです」