効いているのは、吸気・排気系のアップデートと、専用設計された吸気カムの採用だと開発陣は言う。あまり知られていないが、CRF250Lは2017年モデルでマイナーチェンジしており、今回はそこで出たウィークポイントを消化する形で開発が進行した。「17年モデルでは極低速を出すことができたんですが、その先で谷ができてしまいました。それを改善すべく上までしっかりスムーズにつながるエンジンにしたいという狙いがありました」とのこと。そのために、開発陣は吸気ダクトからマフラーの出口まで、セクション毎に別々に解析をかけて徹底的に洗い出しを敢行。マフラーもテールパイプ径まで場合別にわけて、非常に緻密な解析をおこなっているのだそう。

低速があれば、おもいどおりになる…のかも

付け加えさせていただくが、編集稲垣が乗った場合はダートの上で際だった「低速トルク」を感じることはなかった。というのも、ダートの上で回して乗れる技量がない僕では、そもそもアクセル開度5〜30%の域で乗っている時間がとても長いのだろう。だから、僕のエンジンに関するファーストインプレッションは、「旧型とは比べものにならないほど、元気に感じる」エンジンだった。エンデューロバイクを乗り継ぐ編集部の伊井も「このバイクなら十分に満足できる」と高評価。とはいえ、和泉は僕の話を聞いて「CRF250Lは高速巡航もするから、いくらビギナーといってもアスファルトの上では、特性がわかると思います」と僕の不足するインプレを補ってくれた。

さらに和泉は言う。「CRF450Lや、NC750のエンジン特性によく似ていると思いました。マッピングも含めて、思い切り低速に特性を振った感触です。高開度ではトルクが薄いのですが、昔の感覚でいうと不自然なくらい低速がある。僕は、こういうエンジン特性好きですね」と。もともと、高回転域を引っ張って乗るエンジンでは無いから、ある意味ではダート好きな人間からすれば「こちら側の世界に思い切り振ってくれた」ものと言えるのかもしれない。レブ域まで回しきった時の得もしれぬ加速感はモトクロッサーで堪能すればいい。実に、うまいところを狙った開発だったのだ。