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レブ特性と高回転域のパワーは、この5年のトレンド
それに加えてヤマハが注目する「プーリングパワー」

10年ほど前だろうか、オフロードバイクはこれ以上、パワー面において進化する必要がない、そんな風潮があったように思う。ピークパワーよりも、低速を重視し、扱いやすさを求め、おそらくはセールスを延ばそうと試みた。マーケットにおいてボリュームゾーンのエントリーレベルに合わせるのは、その時代の最適解だったと思う。あるいは、キャブからFIへ移行する時代だったから、特に過渡特性を重視する傾向にあった…のかもしれない。メディアも、ピークパワーについて語ることは少なかった。

2010年代後半は、先述したとおり、スポーツが進化して“モトクロス”が先鋭化するなかで、より競技志向のツールが求められるようになったのではないだろうか。多くのメーカーが250クラスで「スタートキング」を謳うようになる。電子デバイスも活躍したが、最もPRされたのはピークパワー。スタートで、ほんの10cmでも前に出ること、そのためにフィンガーフォロワーや、様々な仕組みを織り込んだ。

昨今では、レブ域の話が盛んにされるようになった。オーバーレブに当たった時の失速感がなく、どこまでも伸び(るようなフィーリング)れば、より低いギヤで1コーナーまで引っ張っていける。ロスが無ければ、スタートで出れるはずだ。さらに、オーバーレブで失速感がないことは、セクションのつなぎでもとても大事なことだと、多くのライダーが認識するようになった。失速してしまうからレブに当たる前にシフトアップしなければ…、でもタイミング的にはもうブレーキング一歩手前…、そんなよくあるシチュエーションでも、レブで失速しなければ、レブに当てたままつっこんでしまえば良い。

辻は、YZ250Fに乗ってもっともこの点を強調した。

「今までの感覚で、ギアをあげないといけない所でも、エンジンをかなり高回転まで引っ張って回していける。頭打ちというかレブる感じがない。例えば、ジャンプ。飛び出しでレブに入ってしまったら、失速してしまうから、今までのバイクだと前転してしまう恐怖があった。でも、このYZにはそれがない。コーナーの立ち上がりで、もう一段上げないといけないシーンでもバイクがカバーしてくれる。一段上げていくよりも、車速が乗っているからジャンプの姿勢としても自然だ。総じて、ギヤリングが楽。

あとは、大坂(スポーツランドSUGO)を上っていても、旧YZはトルクのバンドからパワーバンドに入ってレブに当たると、首をしめられたような苦しい音がする。走ってる方もがんばって走らせてるなって感じはあるけど、速度は乗っていない。新型は、同じ様なスピード、同じ様な開け方をして大坂を登っていても、もっとパワーを出したいって思うコトはない。最後の伸び切り部分でも微妙な加速をしている感じがする」と。