低中速トルクに重点をおいたエンジン、さらにエンスト癖も改善か

外観からみる大きな違いは、長きにわたってホンダが採用してきたデュアルエキゾーストがシングルに変更されていることだ。だが、今度はホンダが鳴り物入りでデビューさせたスーパースポーツの極みであるCBR1000RR-Rと同様に、楕円形の排気口。サイレンサーの再設計で、1.24kgもの軽量化を達成。

赤が、21モデルのエキゾーストパイプ。旧モデルよりも74mm内側へ設計されており、マスの集中化が進んでいる。

ユニット自体の基本設計、そしてホンダ独特のユニカムは継続しており、ボア×ストロークは96×62.1mmのままで、圧縮比は13.5:1。エンジンユニットそのものよりも、今回はソフト的なアップデートがドラスティックで、PGM-FIマッピングと、ローンチコントロール、HSTC(トルクコントロール)の統合的な制御にフィーチャーした開発がおこなわれたという。ロードレースでは、電子制御がレーシングシーンに大きな影響を与えているが、この21モデルからはモトクロスの市販車も例外ではなくなりそうだ(すでにMXGPだけでなく、日本においてもGETなどの電子制御、マッピングの最先端技術が、リザルトに大きな影響を及ぼしている)。特にHSTCは、点火時期とFIの噴射制御をライダーのスロットル操作と非常に自然な形でシンクロ。最大限のトラクションを発揮する。

なお、デコンプシステムが従来とは逆側についたことで、低回転域での安定性が向上したとのこと。モトクロッサーに特に多かった、極低速での急なエンジンストールを防いでくれそうだ。