トライアルでは、昨今クラッチをチューニングすることが常識になりつつあるそうです。クラッチをチューニングって、一体どういうことなのか…。トライアルのトップライダーも御用達のクラッチショップ、工房きたむらにて、セロー225を題材にその極められし秘技を取材してきました。これを読み終わる頃にはクラッチチューニングしたくてウズウズしていることを約束します。

セットアップはコルク部だけじゃないんです

ディスクの動きをスムーズにするための工夫はまだあります。写真中で指で指している箇所に実は「バリ」がついていることがあるそうです。「これもあまり知られて無いことですが、おそらく製造上の関係でディスクのまわりにバリができてしまうのではないかと推察しています。このバリがついたままだとディスクが動く際に邪魔をして抵抗を生んでしまうので、バリをとっています。バリがなかったとしても新品は表面が鋳肌のままでザラザラの為、削ってなめらかにしていますよ」とのこと。

あなたのクラッチも次回交換する時によーく探してみると、このようなバリがついているかもしれません。この細かい気遣いこそがスムーズなクラッチを支えているのです。

クラッチプレートの裏表わかりますか?

プレートは製造の際にプレス加工をしているため、片面の角が丸くなっています。そこを目印にして丸くなっている方を内側にして組み込みます。「エンジン側に丸い面を向けて組み込んでいます。そのほうがオイルに浸っている時の抵抗が少なくなるのでクラッチを溜めて開放するときの動きを邪魔しにくいのです。また、歯車の様な角面もバリが残っていたりするとそれも抵抗になるため、僕は削ってなめらかにしていますよ」