シート高を下げず、足付きを確保する。あるいは、高くして高身長に合わせる
シート屋としては、やはり「足付きをどうにかしてほしい、もっと低く」というオーダーが跡を絶たない。だが、当然だがスポンジフォームを薄くすれば、底付きしやすくなって、ロングライドには向かなくなってしまう。
「ある程度、シートは角を削ることで足付きが改善します。角があると、モモ裏が触ってしまって足がまっすぐ下に降りないので、足付きが悪くなる。うちのお客さんでも、角を削る加工で満足してくれることが多いですね」と野口氏。
セロー250の場合は、シート高を上げたいというオーダーも多いそうだ。僕、稲垣も身長180cmで、ステップとシートの距離が短く、ヒザがかなり曲がってしまっていて、ロングライドではひどく辛い。ハイシートを、切望する一人でもある。「T-NETを挿入する場合、30mmまではT-NETの挿入価格で盛ることは可能です。でも、それ以上になるとスポンジの縦剛性が保てなくなって、よれ始めてしまうから、シートのサイドを幅広にする加工を伴うのです。そして、シートを直角にするべきではなく、台形を保たねばいけません。シートベースからの立ち上がり角度は、85度までが限界。私も高身長なのですが、セローのハイシートはかなり難しい」と野口氏は打ち明ける。おおよそ現実的には、5cmくらい上げるのが関の山だろうか。