ダンパーロッド式から、カートリッジ式へ。レーサー同様、フルアジャスタブルにアップデートされるTRICキット

圧側は、サスペンションのボトムでアジャストできる機構

人は、どんなときにサスペンションが固いと思うだろうか。答えは、動いて欲しいタイミングで動かない時だと、僕は数々の取材で教えられてきた。「サスを思い切り柔らかくしたつもりで乗ってみたら、すごく固く感じた…実は、奥で思い切り固さが立ち上がっていた」という失敗は、よくある話である。TRICサスは、そういう意味でまったく固さを感じることはない。物理的に言えば、カートリッジ式になって減衰ボリュームが飛躍的に上がっていて、バネも強いモノが入っているから、スタンダードより固い。だけど、オフロードライディング的には、まったく固いサスではない。

リアサスペンションには、Tec-5.2。これまでの5.1とは違うのだ!

Tec-5.2では、コンプレッションを高速・低速で調整可能だ

絶妙なサスセッティングは、KLX230にマッチしていると感じた。路面のコンディションが、よく伝わってくるから、少し乗っているとスタンダードよりも、もう少し攻めてもいいのだと気づかされる。ギャップに突っ込んでいくスピードは、周回をあまり重ねずとも、上げていける。腕が無いので飛べないけど、少し飛んじゃってもいいんだ、とジャンプもアクセルを緩めず進入できるようになる。

情けない走りでスミマセン…

コーナリングも、圧倒的にいい。ブレ—キング、サスを沈めて姿勢を変化させて…旋回。そんな流れを、自然にレーサーのようにこなすことができる。ここまで仕上がるなら、KLX230を「R化」するなんて考えなくて良いし、これ1台でなんでも遊べちゃうよな…と思わされてしまう。