日本人初のISDEゴールドメダル達成が記憶に新しい釘村忠が、2020年はBetaに移籍することを発表。日本におけるBetaの輸入元ワイズモトが運営する「ワイズベータレーシング」から全日本エンデューロ選手権を中心に参戦する。エンデューロ界隈としては、非常に珍しい大型移籍となる。

最上位キャリア初の2スト

釘村忠は、全日本モトクロスをヤマハ、カワサキのファクトリーで戦ってきた経歴を持つ。IB時代には2ストに乗っていたものの、IAデビューから4ストに乗ったという過渡期の世代のライダーだ。本格的にエンデューロへ参戦する際にも、ホンダのCRF450RXだったこともあって最上位のキャリアでは4ストで戦ってきた。

「Betaのラインナップでも、4ストとの相性はよかったのですが、2ストの面白さに魅力を感じました。それに、エンデューロGPではチャンピオンマシンですから、間違いが無いと思っています。移籍してから乗り始めているRR2T250は、思っていた以上にパワフルで個人的には若干マイルドな方向にセットアップしていきたいと考えていますね」とのこと。

Betaに溢れる若さに惹かれて

ISDEポルトガルでは、仲の良い大神智樹のサポートも記憶に新しいところだが、現Beta勢のメンバーは若手揃い。先述の大神、エルズベルグロデオに挑戦中の石戸谷蓮、そしてスピードに期待がかかる斉藤祐太朗らと逸材が揃う。

釘村は「これからのオフロードバイク業界を賑わせていきたいという思いもあり、彼ら若手を育てたいとも思っています。彼らからは、僕と同様に世界で戦えるレベルまで成長したいという強い思いを感じますし、それに応えていきたい。それに、彼らと共に自分もレベルを上げていきたい、と思ったのがこのチームに移籍した大きな理由です」と言う。

すでに、Betaのライダー達で合同練習会を開催。釘村は「少なくとも2ヶ月に一度はこういったトレーニングを一緒にしていきたい」とのこと。

監督でありチームオーナーの門永哲也氏は「キャリアとして十分すぎるものを持ったライダーの移籍で、私たちとしても身が引き締まる思いです。他のライダーたちの成績にもつながるでしょうし、成績以上のものを吸収できる機会に恵まれたと考えています。特に今のライダーは、自分を速くするための環境に身を投じることが難しい時代に生まれていると私は考えているのですが、釘村さんの加入は突破口になる可能性も秘めています。2020年がとても楽しみです」と語る。