セローの今後
セロー250は、ヤマハにとってのヒット商品だ。
だが、そのはじまりに決して「明るい未来」が見えていたわけではなかった。時は1980年代、高性能な2ストロークトレールDT200が、他社とその販売台数を競っていた時だ。初代の走行実験担当である近藤充氏は、いまや業界におけるレジェンドである。通常マーケティングや、企画から持ち込まれるマシン企画が、開発から持ち込まれたのだそう。
85年発売当初のセールスは芳しくなかったが、ヤマハ発動機の社内にはウイルスのように「セロー」が蔓延しはじめていた。
じわじわとその人気を伸ばしていき、2005年に250cc化。フルモデルチェンジしてからのセローは、さらに勢いをつけていく。この250ccセローは、一時期年間1000台ベースまで落ち込むが、2018年には3000台オーバーを記録する。
ファイナルエディションとは、何か。文字通り、最終モデルだと言うことができるが、たとえばカワサキのW800は2016年にファイナルエディションが発表され、今年2019年に復活新モデルが登場した。わずか3年でファンの声に応えた好例だ。
セローファイナルエディションの取材の席において、今後の新モデルはありえるのか、聞いてみた。当然、メーカーに答えられることは何もなかったけれど「ヤマハ社内のセローファンが、とても多いんです」と言葉少なげに応答してくれた。空冷なのか、水冷なのか。SOHCなのか、DOHCなのか。そんなことはたぶん、新しいセロー(? なのかもわからないが)を目の前にすれば、きっと忘れてしまうだろう。オフロードマニアのメーカー、ヤマハの次回作に心から期待したい。