シミュレーション上、10分のファイナルクロスなら100秒の余裕があるはずだ
5日目の夜、プレスチームが出したシミュレーションでは、釘村のゴールドへの条件は10分のファイナルクロスなら100秒の余裕があるはずだった。15分、20分といくつか場合にわけてみたが、数字上ではかなり開きがある。指標になるE2クラストップのテイラー・ロバートとは、5日目で25分13秒の開きがあった。
もしかすると、エールの気持ちもあったのかもしれない。6日目、ファイナルクロスのE1ヒートは日本にとって衝撃的な幕開けだった。渡辺・馬場が出走するこのヒート、コースを分析した渡辺はアウト一杯のゲートを選択。サポートメンバーから、「フライング気味にでるライダーもいるぞ」とコーションも伝えられた。
渡辺・馬場ともにスタートへの反応はバッチリ決まったが、馬場はイン側のクラッシュに巻き込まれてしまう。アウト側から荒れたイン側を捲った渡辺は、3番手で1コーナーを立ち上がった。E1クラスのセカンドチームではあるものの、世界各国が誇るトップライダーの中で、渡辺はトップ2を追う。馬場も、素早く復帰して追い上げを図る。馬場は言う。「イン側ががら空きで、かなりラクに前へ出ることができました」と。ビタっと安定した渡辺は、あっという間に2位を追い詰めパスすると、冷静にトップへターゲットをチェンジ。残り2周を残し、さらっと頭を引いた。馬場も、執拗にパッシングを続け、6位まで追い上げた。