ISDE(FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ)や、JECでもおなじみのシーン。ライダー自身がタイヤ交換をする。しかも急いでやっているのはなぜだろうか。
総合力のテストだ
ISDEは、1913年に、当時のモーターサイクル製造業者の団体(FIM=国際モーターサイクリズム連盟の前身)が、モーターサイクルの信頼性と、ライダーの技術の向上を目的に始められた6日間競技。そのため、スピードだけではなく、バイクの耐久性、整備性、そしてライダーの修理や整備の技術も含めた総合的な能力を試す競技として発展してきた。
朝の10分、夕方の15分
それは現在でも受け継がれていて、ISDEでは、修理や整備ができるのは原則として選手本人だけ。整備のために割り当てられる時間も、朝のスタート前10分間と、ゴールしてから車両保管場所(パルクフェルメ)に入れるまで15分間だけ。車両保管されたら次の日のスタート10分前まで、一切整備をすることはできないルール。これはISDEルールをベースに作られたJEC(MFJ全日本エンデューロ選手権)でも同じだ。
フロントなら3分で交換できる
エンデューロライダーが、自ら、それも短時間でタイヤ交換する技術を持っているのはそのためだ。フロントなら3分、リアタイヤでも5分前後で交換してしまう。1日8時間、300kmを走るので、他にも修理、整備しなければならない部分がある。エアクリーナー交換、オイル交換。場合によってはピストンやシリンダーを交換することだってある。だから基本的な整備であるタイヤ交換のスピードは速ければ速いほどいいのだ。
競争と進化
理論的にエア漏れでパンクするということがないムースは、1990年代にはエンデューロで一般化した。それに合わせて、ムースチェンジャーやレバーも進化。現在では誰でも扱いやすいアイテムになっている。コンペティションの中でハードウェア、ソフトウェアが同時に進化していく。モータースポーツの原型がエンデューロにはある。