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日本最大のクロスカントリーレースであるJNCCは、最終戦を待たずして渡辺学がチャンピオンに輝いた。開幕戦は、馬場大貴に譲ったものの、その後5連勝。シーズンの途中でISDEワールドトロフィーチームでの参戦を表明してから、「日本代表に選ばれた以上、こんなところで負けているわけにはいかない」と強く言ってきた。

JNCC Rd.6 ほおのき
9月22日
岐阜県ほおのきスキー場

第6戦ほおのき、攻めの手を緩めることは許されない

岐阜県に位置するほおのきスキー場は、クロスカントリーライダーにとっての理想郷だ。延々続くアップヒルに、度胸試しの「クリフハンガー」「ほおのき転がし」の2台ダウンヒルが待ち受ける。チャレンジのしがいと、全開の楽しさが同居する。さらに、ホスピタリティはJNCC会場でも随一で、なんと会場内に温泉がある。車中泊組は、フードバザーで夕食を済ませれば、さっさと寝てしまうこともできるし、夜な夜な仲間との宴会を楽しむことだってできる。秋口の爽快な気候も、とてもありがたい。

この第6戦にあたり、台風が接近してきていた。直撃は免れそうだが、雨にたたられることは間違いがなさそうだったし、ライダー達はほとんどが雨対策をして前日を過ごすことになったのだが、蓋をあけてみれば午前中は青空すら見える状況だ。

雨のそぶりもない最高のコンディションで、第6戦がスタート。ホールショットはベータの斉藤祐太朗だった。かかりのいい2スト勢が、いつも通り先行していく中、渡辺学はテクニカルに1コーナーを最インでまわって初速を取り戻す。1周11分ほどの広大なほおのきを最初に帰ってきたのは、やはり渡辺。そして、すぐ後ろには鈴木健二が控えていた。

「今日は、ペースも良くていけると思っていた」という鈴木。渡辺にも「同じヤマハ同志で、ワンツーをとりたいという気持ちもあった」と目論見があった。「時には健二さんのほうがペースが速かったからね」と渡辺は言う。渡辺は、普段であれば前述したとおり負けているわけにはいかない、と奮起するものの、2位に入ればチャンピオンを確定できることや、ヤマハ同志というよりも、そもそも実家は隣であり、縁の深い鈴木とバトルを楽しみたいという思いがあったのだろう。二人の距離は、定めたように離れず、鈴木は渡辺に食いついて離れなかった。

同じくISDEワールドトロフィーに選ばれていて、開幕を1位で飾った馬場大貴はリズムに乗れずクリフハンガーで大きなクラッシュ。難所にもつかまって、1周目を103番手で戻るという悪循環に。前週の日高2デイズエンデューロも思うようには乗り込めず消化不良の2週となってしまう。馬場は、それ以上は危険だと判断して6周目でレースを終えた。