石戸谷蓮「今年の境目は、アイアンロードにある」

2年目の挑戦になる、石戸谷蓮は準備も万端と語る。

2018年エルズベルグにて、石戸谷蓮

「今年、お世話になっているBetaでは、出荷前のバイクが何台も盗まれてしまうと言う事件に遭ってしまったのですが、実は僕が借りようとしていたバイクも含まれていました。なので、今回は昨年に借りたRR2T 300ではなく、RR2T 300 Racingつまりファクトリーレプリカを借りることになりました。戦闘力はあるんですが、ちょっとレンタルフィーが高くなっちゃいますしたね」と。お世話になるチームは、昨年同様イタリアのBOSI Racing。昨年ヘルプで渡欧した木村吏も参加することになったので、サポートしてくれる人を追加。宿も同じところにとった。

「去年走って思ったのは、スピード不足でした。だから、1年かけてタイム計測しながらトレーニングをしてきました。予選でフロントローをとれるかどうか(1800台のタイムアックでおこなわれる予選「アイアンロード」で、スタートの列順を決める。1列50台)はとても大事なんですが、正直昨年のリザルトを見る限り、今の自分の実力ではかなり遠いところにありますね。だから、昨年4列目だったところ、2列目まで入れればいいと思っています。完走したライダーをみても、2列目までならたくさんいるので。

それと、インターバルトレーニングで筋持久力を上げてきました。朝6:00に起きて、コップ一杯の水分を採ってトイレにいったら、30分〜1hのトレールランニングをインターバルでやっています。心拍数の目安は180。僕は、単発のテクニックに関しては不足していないと思っています。ただ、欧州のライダーのどんな体制になってもバイクを引っ張り上げられる、タフさが欲しい。この1年で体重は2kgだけ増えました。体質なのか、あまり増えないんですよね。本来はあと10kgほしい」

スタート直後(2018 Ren's Eye)

去年、レースが終わった後にも言っていたのは「スピード」だった。渋滞になる前に、いかにセクションを通過できるか。そこがエルズベルグ、いやハードエンデューロの戦い方である。通常クロスカントリーレースでは、渋滞は敬遠されるが、ハードエンデューロでは主催側がわざと渋滞箇所を作ることが多い。ボトルネックを作っておけば、難セクションに挑戦するライダーが大挙しないから、セクションを難しく設定できる。つまり、ハードエンデューロはそのボトルネックに引っかかったら、烏合の衆になってしまうわけだ。これを突破できなければ、光はない。

2018 Ren's Eye

「昨年は、CP14(チェックポイント。昨年は25まであった)まで到達しました。カールズダイナーまで2kmってところでしたね、だいたい距離にして20km。今年は難しいって噂ですし、43kmは長いですね。

まず順番待ちしているようではダメ。セクションは一発で決めていかなくては先に進めません。ウォーターパイプのあとの森には、無数にセクションがある。ヒルクライムだけでなく、ねっこだらけのワダチとかね。これを渋滞につかまると、1セクション10分〜15分かかってしまうのです。

渋滞待(2018 Ren's Eye)

それに、日本人の考える「クリーンなエンデューロ」は通用しません。ある程度グレーなことが頻繁にまかりとおるし、そうしないと渋滞を抜けられない。その不文律は去年把握したつもりですよ」と。