昨年までのTeam HRCでは、AMA向けとMXGP向けに振り分けて2車を開発していた。とりわけ、成田亮車(前半、山本車)のAMA向け開発車ではプロダクションルールが存在するために市販ベースとし、MXGP向けの山本鯨車(前半、成田車)は先行開発のフレームなどが採用された。2019シーズンは、Team HRC自体の運営方針が変更されたことで、より今後の市販車へフィードバックさせるための2車となり、基本的には同仕様のCRF450RWとなった。LPLの内山氏いわく「量産の少し先のテスト」とのこと。
※Whip とりわけ高級車を指すスラング。もちろん「鞭」から来ていて、ウィップとも韻を踏んでいる
#114 成田亮 Honda CRF450RW
わずかながらのタンク容量を稼ぐためのファクトリー専用チタンタンクなどは、2019年は採用していない。前述したとおり市販ベースでの戦いとなる。山本鯨車と、共通点を先に述べておこう。
まず、市販車ベースと再三書いている両車だが、フレーム・エンジンともに先行開発の仕様が隠されている。剛性チューニングの範囲で、ソフトにしていく方向だとのこと。エンジンに関しては、昨日北米で発表になったトルクコントロール「HTSC」を組み込んでおり、全日本で検証を続けるとのことだ。また、全日本を今後追うことで見えてくるものもあるはず。
また、2019年モデルから、ホンダではワークスエディションをラインナップに加えており、ヨシムラエキゾーストなどもこれに反映されることもある。そう考えると、サードパーティのパーツひとつとっても、今年は「ファクトリーパーツだから、あまり関係ない」というわけではなく、見方を変える必要がある。実に山本車のエキゾーストは2020モデルのCRF450RWEのベースと見られるもの。ぜひ次ページで見てみて欲しい。
昨年から継続される、USヨシムラとの共同開発エキゾースト。左側にくらべて、右側の排気口が大きい仕様。
市販車より吸気効率を求めて、サイドには蓋がされていない。
エキゾーストパイプは、標準的なとりまわしの成田車。ヘッダーにO2センサー。各部の仕上げは、メカニック千葉氏の入念さが光る。
成田車は、油圧クラッチを使用するのが特徴。
今季は、ニッシン製の削り出しマスターを使う。