AT81が2000kmを超えるルートを走破したことは、下記でお伝えしたとおり。
だが、持ちのいいタイヤは、摩耗しづらい、つまりは摩擦がおきづらいということでもある。ダンロップのトレールタイヤなら、605より603のほうがライフが短く、よりグリップする。オフロードの場合、単純にそうとも言えないのだが、アジアでのグリップ感はどうだったのだろうか。
赤土のグリップに優れる
特にタイに多かったのは、赤土だ。ところどころ、田畑の水が溢れていてマディになっていたりもする。
増田の評は、「ドライであれば、まったく問題ありません。ドライの場合、表面に砂が浮いているような路面なので、ハード寄りのタイヤチョイスがいいと思いますが、AT81の場合はハード路面への対応力はモトクロスタイヤとも遜色ないくらいだと思います。元々、トラクションさせづらいですが、今回の重量のあるCRF250RALLYでは重さでトラクションを稼げていました」とのこと。
「赤土のマディでは、角がある1日目、2日目でしっかり路面に刺さる感触がありました。さすがにこちらはモトクロスのミディアムソフト同様とまではいきませんが、そもそもコーナリングがあまりないので求められるのは推進力だけなんです。十分なグリップ感がありましたよ」
岩がむき出しになったり、堅いワダチが残るシーン
時には、少し難しめの岩場があったりもする。
ワダチが固まった箇所は、厄介だが…
「CRF250RALLYは、ローダウンバージョンだったのでこういう場所は苦手でした。ただ、エアボリュームのあるタイヤなので、ギャップや岩場でタイヤ自体がクッションしてくれるのを如実に感じましたね。それと、前後ムースだったので、パンクの心配がなかったのもよかった。
ムースは、4日目くらいになじんできたので、タイヤの摩耗でグリップ低下するだろう分を、ムースのなじみがカバーしてくれた感じです。場合によっては後半のほうがグリップするようなシーンもあったくらいですね」と増田。
ウォーターベッド付近では…
これは残念ながら「ウォーターベッド」ではない。ウォーターベッドは、さらにひどい水たまりが一面に浸食しているような場所だ。
「マディ自体のグリップはよかったのですが、埋まってしまうとグリップは関係なくなってしまいます。タイヤは140サイズだったので、埋まってしまうと引き出すのが大変でした」とのこと。
川渡りも、問題はなかったようだ。「防波堤のような場所は、路面の苔がこわくておっかなびっくりでしたが、実際にはよくグリップしてくれましたね」
AT81は、クロスカントリーにおいて耐久性とマルチなグリップ性能を目標に開発されたタイヤ。それまで、クロスカントリーはレース自体に人気はあったものの、専用のタイヤは少なく、ライダーたちはモトクロスタイヤや、エンデューロタイヤを使い分けていた。
しかし、このAT81の登場で、いわばクロスカントリーシーンの「スタンダード」ができたことにより、多くの「オフロードライダー」の基準になりつつある。今回は、その基準のタイヤをラリーに持ち込んだらどうなるのか、というテストだったわけだが、十分にラリーシーンでも活用できると言えるのではないだろうか。