ダカールラリーのようなレースでは、ラリータイヤが主流。ただし、ラリータイヤ自体がとても特殊なもので、ダンロップの国内ラインナップにも大排気量用のD908RRだけが掲載されているような状態だ。
そんな市場の状況もあって、ラリーのタイヤチョイスは、わりと難しい。いわゆるモトクロスタイヤでは耐久性に難がある。FIM規格のエンデューロタイヤならば、1日数百キロを走り回れるだけのライフがくりかえされたテストで証明されている。さらに今は、オールマイティなクロスカントリータイヤが存在していて、路面のレンジも広く、ブロックの高さに関する制限もない(FIM規格のEDタイヤには、自然保護の観点から制限がある)ためこちらも興味深い、といったところが概況だ。
ワイドレンジのモトクロスタイヤ同様に走れるAT81
増田がまずテストしたのは、AT81。ダンロップではオールテレーン・エンデューロタイヤと、カテゴライズされているものだ。前述したクロスカントリータイヤに当てはまる。
日本のエンデューロを代表する鈴木健二が開発に関わり、耐久性とレンジの広いグリップ特性を確保。国内外において、XCのスタンダードとなっているタイヤである。
「KTMの200EXCでレースに出てた時に使用していたタイヤで、個人的にも信頼が高いタイヤです。グリップ感と耐久性のバランスを考えるととても感触がいいですね。それと、今回のCRF250RALLYは車重も156kgありますから、AT81のしっかりした剛性が求められるし、接地感も出やすい。エアボリュームも十分にありますしね」
クッション性に優れるD909
次点候補であったD909は、FIM規格適合のエンデューロタイヤ。耐久性に優れるだけでなく、エアボリュームが高いことでブロックだけでなくタイヤのケーシング全体で路面を包み込むようなグリップをしてくれる。
「耐久性を考えるなら、D909を選択するべきだとは思います。ただ、私の体重だと軽すぎてグリップ感がAT81にくらべて少ないかなと。あと、AXCRでは夕方必ずスコールが降ることを考えると、もう少し接地感がある方がいいなと思いました」
これまで使ってきたことからも、耐久性の信頼があるAT81に
オフロードコースの走行テストで、増田はAT81で参戦することを決定。また、扱いやすいパワーデリバリーのCRF250RALLYであれば、タイヤにも優しいだろうということで、1回のタイヤ交換だけでラリーをこなす計画に。「もしかしたら、交換しなくてもいけるかも、と踏んでいます。ラリーモンゴリアでも、交換せずに走り着れましたからね」と増田。
すでにムースで組み込んだ新品のAT81前後を、船便に積み込み。
「ダンロップさんのゴムの感覚は、これまでいろんなバイクで走り込んで、体に染みついていますから、タイヤに関してはとても不安はないですよ」とのこと。アジアクロスカントリーラリーも、いよいよ間近。このラリー前、最後のレースとなるJNCCほうのきも無事こなして、レースを待ちわびている状態だ。
協力/住友ゴム工業株式会社