わからないから、見ない。アートと聞くと、その解釈に困り、どうしても目を背けてしまう気持ちはもちろんわかる。でも、たとえば今夏のドラえもんと村上隆のコラボレーションは、美しいと思うだろうか。心揺さぶられはしないだろうか。
対象がダートバイクだったらどうだろう。
アートブランド「CALMA」
JNCCのサザンハリケーンで、ログセクションを担当したこともある「ランバージャックス」の中心人物岡本兄弟の弟、岡本亮はアーティストであり、今年あらためてアートブランドとしてCALMAを立ち上げた。「アートは、世間から遠い。でもアートは普通に稼いでいけるようなものであるべきだとおもうし、もっと世間と近いものだと思う」と言い、距離感を縮めるためのアート「ブランド」とした。7月の初旬、このCALMAのギャラリーが代々木で開かれていた。
※7月11日でクローズ
メインのインスタレーションが、このCL90。岡本氏がカスタムバイクショップであるアニマルボートから買い付けた時には、すでにオフロード仕様になっていたそう。これに質感のいいスチールラックをワンオフで制作。
岡本の川での遊びや、アウトドア、薪割り、オフロードライディングが、CL90を彩っている。
簎(やす)は、岡本がこれまで何本も実用品として製作してきたものだ。
「素材が固すぎると、折れてしまう。ある程度柔らかくて、岩に当たって曲がったものを直しながら使うものなんです」
元々なかったタンデムステップを、インスタレーションのために追加した。
レースと、ストリート。その二つの世界を行き来する岡本のライフスタイルを体現するライト&ゼッケン。
トップブリッジ下に見える筒は、ウインカーなのだと言う。発光もする。
「ピークスモペッズに協力してもらったもの。できるだけ目立たせたくなかった」とのこと。
杉の皮を剥ぎ、床板とした。
中に入っているものは
神棚の側、箱宮の中に思うものを詰めたインスタレーション。特に印象深いのは、真ん中の謎のキャラクター。箱宮とまわりに詰めた骨格との相性から、神話的な雰囲気が漂う。
簎。
紙で作成されたウエア
ウエアは、アートとの相性もいい。
岡本は、今回紙でウエアを制作した。
岡本亮は、今もJNCCをはじめとしてダートバイクライディングにどっぷりはまっていて、関西方面を中心にライディングをエンジョイしている。
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突然変異と歩むアートブランドへ
CALMAとは岡本亮によるアートブランドである。ここでいう“ブランド”とは、いわば“作品”と同義語。ただ、これまでアートとは見做されなかった物事や行為を混ぜ合わせることで、アート作品の域に留まらない新しい価値を創造し、神出鬼没に展示していくのがCALMAである。
ーCALMAウェブサイトより
これから起こる、アートとダートバイク、そしてそれらを媒介として結びついていくものとの化学反応を、楽しみにしていきたい。